その電話は突然でした。
「震災避難所での二次的な健康被害を防ぐ企画だ」というのですが、話を聞けば聞くほど頭の中が混乱してよくわかりません。いろいろ質問をしてようやくわかったのは、その電話の主が圧迫ストッキングの輸入元であるということです。その圧迫ストッキングを避難所に送りませんか、ということらしい。
とくにご高齢の方は避難所で長時間毛布にくるまってじっとしておられることが多いようです。そこで心配なのがエコノミー症候群。その予防には、静脈を強く圧迫する弾性ストッキングが有効であろうということは、2007年の中越沖地震のときにクローズアップされ、よく知られるようになりました。今回の地震でも、発売元の一つであるテルモが寄贈することをすでに発表しています。
これはなかなかよい企画ではないかと思いました。そこでさらに話を聞いてみると・・・
被災地で生活する方々へ支援物資を送りたいと考える企業がその輸入元にお金を払う。すると輸入元が日赤に圧迫ストッキングを寄贈する、というのです。
これって、なにか変じゃありませんか? 要するに、その会社の圧迫ストッキングを買ってほしいということなんです。ご丁寧にも自社サイトに申し込み書まで掲載しています。
被災者を食い物にして商売をしようとしている。これでは社会貢献の衣を着たオオカミです。おためごかし。火事場泥棒、いや震災地泥棒の一種と言ってもよいでしょう。いまも怒りが収まりません。〈kimi〉