広報は点描である、ということについて

スーラ1
点描という絵画技法があります。スーラの絵で有名です。一つひとつの点を見ても、黒だったり赤だったり青だったりその中間色だったり。意味はほとんど見出せませんが、それらを集合としてみたとき、初めて目指す姿が浮かび上がってきます。それが広報活動のあり方とよく似ていると思えるのです。
昨日のプレスリリースも今日の記者発表も明日の取材も、それなりの意味はあっても、大きな広報目標から見ればカンバス上の一点に過ぎません。そのような点を日々着実にテンテンと打って行く作業を繰り返す。そして、ある時点で振り返えって見ると、目標とする一つの画が描かれている、それが一つの理想ではないか、というふうに…。
IRの分野にはうまい用語が存在します。「モザイク情報」がそれです。企業の業績や将来価値に大きな変動を与えるとは思えないような情報、適時開示規則上の軽微基準に該当するするような情報をそう呼ぶのです。ところが、そのような何気ない一片の情報を集めて分析すると、企業の実像やその方向性がモザイク絵のように浮かび上がってくるというわけです。
IRでは、企業側が意識的に画を描くというよりも、個別の事象や案件が発生するたびに発信されたランダムな情報から、アナリスト側が一つの画を見出すというニュアンスですが、広報活動としては、それを意識的にやってみてはどうか、と思うのです。それには、あらかじめ描くべき大きな目標をしっかりと立てておく必要があります。
たとえば研究開発に優れた企業であると認知してもらうことを広報の目標とする会社なら、研究開発に関する情報をどんどん発信し、取材を受けるようは活動を続ければ、数年後には目標の姿にかなり近づくことができるでしょう。
そんな簡単なこと…と思われるでしょうが、それがなかなか難しいのです。研究ネタが見つからないということもあるでしょうが、やっと見つけたネタでも、そんなつまらない情報をなぜ発表するのだ、という開発サイドからの反対に会うことも少なくないからです。
そんなときスーラを思い出してほしいのです。一つの情報はそれほどインパクトの強いものでなくても、それらの点が集まれば画が描けるのだということを。。〈kimi〉

また気になる専門誌

書籍広告
全国紙の1面記事下の書籍広告が気になると、半年ほど前(2013年4月18日「気になる専門誌」)に書きました。そこでご紹介した「寺門興隆」が12月号からまた改題して、元の「月刊住職」に戻すという広告が、11月3日付の朝日新聞に出ていました。「寺門興隆」では難し過ぎるという意見でも出たのしょうか。それにしても「月刊住職」という誌名はシンプルかつストレートで面白い。この伝で行けば「月刊スナックママ」なんていう雑誌もいけそうです。「月刊宮司」、「月刊教主」、「月刊社長」、「月刊経理部長」、「月刊平社員」、「月刊床屋のオヤジ」、「月刊専務理事」、「月刊現場監督」等々、いくらでもできます。
さて、再びここ数日の書籍広告に目を移すと、「月刊養豚界」というのがありました。ルポとして「がんばる農家養豚 宮崎県 『感謝、反省、努力の経営』」という記事が掲載されているようです。養豚界もどこか宗教界と通じるところがあるのでしょうか。宮崎県の畜産は口蹄疫とか鳥インフルエンザとかいろいろなことがありましたからね。
「養殖ビジネス」というのは水産業の雑誌で「失敗から学ぶトラフグの売り方」を特集しています。どんな失敗があったのか、フグだけにちょっと気になります。
「目の眼」という雑誌もあります。骨董・古美術の専門誌で、編集長白州信哉とありますから白州正子さんのお孫さんですね。その隣の広告は「Privateeyes」。目は眼でもこちらは「ユーザーと業界を結ぶ眼鏡専門誌だそうです。
「温泉批評」という「日本の温泉を考える初の論評誌」が発刊されたようです。温泉まで論評の対象になるとは・・・おちおち温泉にも浸かっていられない気分ですが、その総力特集が「混浴温泉は絶滅するのか?」。それほど心配する必要もなさそうです。〈kimi〉