書類整理と人事考課は似ている

かたづけ
今年もはや最終営業日となりました。街を歩くと、あちこちのビルの窓にガラスを拭いている人たちの影が動いています。
私たちのような仕事では、大掃除の大半は書類の整理です。仕事が一段落する都度整理して、不要な文書を捨てておけばよいのですが、それがどうにも億劫で、とりあえず机の上に放り出しておく。次の書類はその上に積み上げておく。西之島の噴火のように山が日に日に高くなるのを横目に、見て見ない振りをして来た報いを、この一年最後の日にいっぺんに受けることになります。
書類整理ほどストレスを感じる作業はありません。書類に一つひとつ目を通して、なくてはならないもの、一応キープしておくもの、他の人に押っつけてしまうもの、そして、整理してしまうものにより分ける、そのストレスが何かに似ていると思ったら、人事考課を思い出しました。考えてみれば、どちらも個々に評価を下し、その後の対応を決定するという点で極めて似た仕事だと気づきました。
一年間ともに過ごした部下や書類の運命を決めるのはとてもつらいことです。ビジネスではときに非情にならねばならぬ、と自分自身を納得させつつ、先ほど大きな燃えるゴミの袋をこしらえました。ああ、くたびれた。
写真は、私の机上ではありませんので、誤解なきようにお願いします。
よい年をお迎えください。〈kimi〉

笑顔のよさ

inose2
広報セミナーで、「広報担当者に求められる資質は何か」と質問されることがあります。知識やスキルなら、努力すれば解決することなので列挙することも容易なのですが、資質となると言いにくい。その人の持って生まれたものもあるし、その後の成育環境に影響されている部分もあるからです。言い方によっては差別にもつながりかねません。
厳密には資質ではないかもしれませんが、まず強調するのは「口のかたさ」です。「広報は口がかたい」と社内からの信頼が得られれば情報が集まってくる。トップシークレットでも事前に伝えてもらえます。
社会常識や庶民感覚も重要な資質です。そのような「感覚」は、理解するというよりも、身つけるように心がける必要があります。
倫理観。これは養えるものかどうか。企業倫理についていくら勉強しても、いざというときは個人の倫理観が問われます。生まれつきの正義漢といった人もたまにはいますが、幼児体験が影響していたり、広い教養を身につける中で育って行く部分もありそうです。
広報担当者に求められる資質の中で、なによりも大切だと考えているのは「感じのよさ」です。好感の持てる人が広報にいると、記者はもちろん外部の人たちから好感を持たれます。それは企業の好感度に必ず結びつきます。逆に、へんな会社には感じの悪い広報担当者がいます。これは経験上間違いありません。
「感じのよさ」はどのようにつくられるのか。全くわかりません。その人の内面のさまざまな要素が関係しているのだろうと想像しますが、外面における重要な要素の一つは「笑顔」ではないでしょうか。笑顔がよい人は感じがよい、と思いませんか。一例を挙げれば、オリンピックの東京招致で最終スピーチをした佐藤真海さんでしょう。
では、笑顔がよくない人ってどんな人でしょう。とてもよい例がありました。写真(変形してます)からご想像ください。この人もオリンピックがらみではありますが。〈kimi〉

代名詞化される商品は

テープ
「彼女の発言、テープに取っておいてよ」などと何気なく言ってしまいますが、録音にテープに使わなくなってすでに久しい。それでも「テープ」と言ってしまうのは、録音はテープにするものだ、と頭にしみ込んでしまっているからでしょう。
先日、ご高齢のジャーナリストの方々とお話していたら、いまもってカセットレコーダーを使用しているとのこと。テープは回っているのが見えるから安心なんだ、というのが愛用の理由だそうです。その気持はよくわかります。メモリーは見えません。「テープを回す」がいまも通じるのは、案外そんな理由なのかもしれません。
そう言えば、と思い出したことがあります。いずれもよく知られている事例なのですが・・・。
80年代くらいまでは「コピーとってください」とは言いませんでした。「これ、ゼロックスしておいて」がふつうでした。その頃はゼロックスが圧倒的なシェアを持っていましたが、その後他社もシェアを伸ばしたので、「ゼロックス」はコピーの代名詞ではなくなってしまいました。
もう一つ、「スリーエム」というのを思い出しました。スコッチテープやポストイットの3M社のことです。米国人や米国かぶれをした人たちが、オーバーヘッドプロジェクターをそう呼んでいました。「オーバーヘッドプロジェクター」では長すぎます。その後は「OHP」という略語が一般的になっていました。3M社は、装置もさることながら、OHPシートが大きなビジネスになっていたようです。いまや企業ではほとんど見かけなくなりましたが、大学などではしぶとく生き残っているようです。
「ホッチキス」も似た運命をたどりつつあるのだろうと思ったら、これはもう普通名詞になっていて、NHKも「ホッチキス」と言っているんだとか。ステープラーなんて言うとちょっとキザに聞こえますね。
このほか味の素、シャープペンシル、セロテープ、エレクトーン、ウォークマン、バンドエイド、万歩計、宅急便などの例が思い浮かびます。いまも代名詞化が現在進行形で進んでいる商品があるに違いありません。それは何か。オリジナリティーが高く、圧倒的シェアを占めつつある商品を探しているのですが、どうにも思いつきません。〈kimi〉