不機嫌な床屋

写真は本文とは関係ありません。

床屋に行きました。10年来通っていたカット・シャンプー・顔剃り2000円也の床屋が再開発とかで突然消えてしまったので、同じような値段の店をようやく探し当てたのです。10席ほどの大きな店です。幸い待っている人がおらず、ほどなく席に案内されたのですが、何か雰囲気が気になります。実に静かです。その上理容師たちの人相が悪い・・・いや表情が暗い。担当になった女性理容師は無愛想な上に少々手荒です。たまたま虫の居所が悪かったのでしょうか。とにもかくにもご機嫌が悪い。こういうときは黙って、されるがままにされているより仕方がありません。何しろ向こうは刃物を所持しているのですから。
頭を下げながら観察していると、部屋の隅まで掃除が行き届いていないことに気づきました。髪の毛が洗面台の角という角に溜まっています。昨日今日という量ではありません。
タオルで顔を蒸されていると、頭の向こうで理容師同士コソコソ話をしています。どうやら新入り理容師の態度が悪いと言い合っているようです。二人ともかなりのご立腹です。それで機嫌が悪いのかもしれません。
やっかいな床屋に来てしまったものです。利便性がよくて安い床屋はそうそうありません。また探すのか、と思ったらすっかり憂鬱です。新たな店を探す面倒を考えたら、不機嫌でも掃除が行き届かなくても、またこの店に来るという選択肢もあり得ます。どうししたものかなあ。

乗り気になれません

1964年、どうしてもオリンピックを見たい、見逃したら一生後悔すると思い詰めて、新宿三丁目の交差点にいまもあるJTB(当時は日本交通公社)にチケットを買いに行きました。すでに発売から日が経っていて、売れ残っていたのは人気薄の競技ばかり。その中からホッケーのチケットを1枚買いました。
ところが開会式間近となって、その試合に出るはずの国が棄権だったか来日しなかったか、どちらにしても試合は中止となりました。これでオリンピックを見るチャンスは失われてしまいました。
大会中は休校になったのかどうか記憶にありませんが、白黒テレビでマラソンを見ていたら、そのコースは甲州街道。自宅からそれほどの距離ではありません。いまから行けばアベベや円谷が見られるかもしれない。「オリンピックを見た」ことになると急に思い立ち、闇雲に走り出しました。しかし、半分ほどのところであきらめました。中学生が思っていたより甲州街道は遠かったのです。
さて、来年のオリンピック・パラリンピック。56年前の中学生と同じような気持になっている人もいるでしょう。経済的に潤う人たちが存在するのは間違いありません。しかし、多くの予算を費やし、多くの人たちを動員し、交通を渋滞させ、メディアを巻き込み、テロのリスクを増大させることが、どれほどこの国に住む人たちの将来の幸せに貢献するのか、さっぱり理解できません。広報を仕事としている以上は、お祭り騒ぎに乗じて多少のおこぼれにあずかろうとするのが当然かもしれませんが、あまり乗り気にはなれません。普段見慣れない競技を会場で見るのも悪くないなとは思うもののチケット購入にもいまのところ積極的に動いてはいません。
先日テレビを見ていたら、どこかの大学教授が、来年のオリンピックやパラリンピックは「第二の開国」になると言っていました。能天気もいい加減にしろ、と言いたくなりました。