朝日、日経、読売の3紙が共同で運営していた「あらたにす」というサイトがもうすぐ閉鎖されます。スタートしたときから、あの程度のコンテンツでいつまで続くものやらと思っていましたので、意外感はまったくありませんが、私はこのサイトの隠れ愛読者でありました。
楽しみに読んでいたのは、「新聞案内人」というコラムです。評論家や学者やジャーナリストが毎日交代で、新聞に関わるテーマで執筆していました。執筆者の中で、とくに新聞記者OBの方々が書かれたコラムが圧倒的に面白かったのです。彼らは現在の新聞報道の問題点をいろいろと指摘し、後輩記者たちを叱咤激励する文章をここに書き続けていました。
お名前を挙げるならば、栗田亘さん(元朝日新聞)、松本仁一さん(元朝日新聞)、水木楊さん(本名:市岡揚一郎、元日経新聞)、池内正人さん(元日経新聞)、西島雄造さん(元読売新聞)、上村武志さん(元読売新聞)といった方々です(見事に各社2名ずつになっていることに、いま気がつきました)。
これらOB記者たちのコラムを読むことで、新聞の読み方や新聞記者のあり方、また、いまの新聞の問題点等々に関して、多くの示唆を得ることができました。また、さすがに文章がうまい。おいしい料理を食べているような気分で読むことができました。
OBだから書けること、というのがあるでしょう。一方で、日本の新聞をよりよくするために現役時代にどれだけ努力したのか、という疑問も当然浮かんできます。しかし、これだけの方々ですから、それなりに努力をし、それでも大きな流れには抗うことができなかったのだ、と好意的に解釈しておきたいと思います。
これが読めなくなることはとても残念です。このようなコラムを掲載するサイトがどこかに、あらたに、できないものでしょうか。〈kimi〉