語り継ぐということ

1945-3-10-2
日本が敗戦して今年で70年。敗戦当時10歳だった子どもも80歳です。
NHKの特報首都圏を見ていたら、ノンフィクション作家の梯久美子さんが、65歳でも20歳(だったかな?)でも戦争を知らないということでは同じだ、という趣旨のコメントをしていました。卓見というべきでしょう。
近頃、日本が戦争をして敗れたという歴史をすっかり忘れたかのような政治や社会の動きが目立ちます。
いま65歳の人が10歳になったのは1960年。「60年安保」の年に重なります。日米安全保障条約への反対運動には、日本が起こした戦争に対する反省と再び戦争に巻き込まれたくないという国民の思いが背景にあったことは言うまでもありません。10歳の子どもにどれほど理解できていたのか疑問ではありますが、その意識になんらかの影響を与えたであろうことは間違いありません。さらにその後の10年、20年を生きて行く中で、戦争経験者から多くの実体験を聞く機会がありました。毎年12月と8月にメディアで大量に流される日中戦争や太平洋戦争に関する報道にも接し続けてきました。
いま20歳の人が10歳だったのは2005年。その2年前にはイラク戦争がありました。戦争体験者の数も少なくなっていました。65歳の人と20歳の人が接触した戦争に関する情報量には絶対的な差があるはずです。
衆議院議員の平均年齢は50数歳だそうです。毎年、あるいは選挙のたびに、過去の戦争に関する情報受信総量の少ない政治家が増えて行きます。現在の政治の流れはますます加速する可能性があります。
戦争体験を語り継ぐ大切さを折に触れてメディアは強調して来ました。それに現実感を覚えることなく過ごしてきましたが、いまになってその重要性を切実に感じるようになりました。戦後生まれの私たちには、決して語り継ぐことができないのですから。〈kimi〉

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