決して律儀な人間ではありませんが、一つ心がけていることがあります。
「一度ご一緒に・・・」
極めてあいまいな表現ですが、ビジネス社会にどっぷり身を置いている人たちには、
「近いうちに食事の機会を持ちましょう」あるいは「一杯やりましょう」という意味だとすぐ理解できます。
ただ飲み食いするだけではなく、お互いが持っている有用な情報を交換しましょうとか、仕事のやりとりができる可能性を探りましょうなどという含みもあります。もちろん利害に関係なく気の合う相手と楽しく一夜を過ごそうというお誘いであることも少なくありませんが。
ところがこの言葉は一種の外交辞令でもあって、実行に移されることがなくてもお互い目くじらを立てないという暗黙の諒解が成立しています。「じゃあ、また(もし機会があればでですが、お目にかかることもあるでしょう)」とほぼ同義です。
心がけているというのは、これを「外交辞令」にしないことです。自分から言葉をかけたら必ず実行する。それをここ何年かほぼ完遂しています。
となるといい加減なことは言えません。面白くなさそうな人、利害に関係ない人、気に入らない人などには絶対に声をかけません。極めて多忙であったり、エラ過ぎてこちらが相手にしてもらえそうにない人にも言いません。相手との距離感をより明確に認識する習慣ができたのは収穫でした。
相手の方から「今度一度」などと言われたときにどう対応するかも考えておく必要があります。この場合は受け身ですから、誘われるまでこちらからアクションを起こすことはまずありません。本気なのか外交辞令なのか妙に気になりますが、じっと待ちます。これまでのところ9割方は外交辞令であることが判明しました。気にするだけ損というものです。これももう一つの収穫と言えるかもしれません。〈kimi〉