社長のための広報入門

P1020618医療機器の業界誌に「もっと知ってもらおう医療機器」という1ページの連載を持っています。このところは「社長のための広報入門」と題して書き続けております。
BtoBの典型である医療機器業界の広報活動は、必ずしも活発ではありません。ずばり言ってしまえば、一部の企業を除いてな~んにもやっていない状態。そこをナントカするためには、社長さんに広報を理解してもらう必要があると考えて書き始めました。
すでに2年近く書き続けておりますが反応はゼロ。内容に問題があるのか、媒体の問題なのか?
今日明日中に来月号の原稿を書かなければならないのですが、なにをテーマにしようかと、先ほどから頭を悩ませております。

医学とは矛盾と誤りの集約である

糖質制限食は本当に生存期間を延長するのか、「がんもどき」は本当に存在するのか、どちらもよくわかりませんが、アスピリンが発売された19世紀末頃のフランスの小説家マルセル・プルーストの代表作「失われた時を求めて」に次のような一文があります。
「畢竟、医学とは、医者たちがつぎつぎと犯す矛盾と誤りの集約であるから、どんな名医を呼んでも、たいてい数年後には間違いとわかる診断を真実として求めることになる。それゆえ医学を信じるのは愚の骨頂ということになるが、それを信じないのもそれに劣らぬ大愚というべきで、というのもそんな誤りの集積から最終的には真実もいくつか出て来たからである」(吉川一義訳、岩波文庫 第6巻)

選挙の季節

突然、見も知らぬ差出人から大きな封書が届いてびっくりすることがあります。開封してみると東京商工会議所の議員に立候補している中小企業経営者からの投票依頼だったりします。
時あたかも衆参同日選挙が取り沙汰されていますが、それに先んじてPR業界でもいま選挙運動が盛んに行われています。日本パブリックリレーションズ協会の理事選挙です。そこで立候補された方からの、これは封書ではなくて電話やメールですが、働きかけを受けることになります。比較的親しい方もおられますが、そう言われてもねえ、というのが正直なところ。その方が理事にふさわしいかどうか判断に迷います。どうしようかなあ・・・。

勤め先を信頼してますか?

名称未設定 1「経済広報」4月号(経済広報センター刊)に「日本人は世界一自分が働いている会社を信頼していない」という記事が掲載されていました(2016エデルマン・トラストバロメーター)。
「信頼している」と答えた日本人回答者は4割だったとか。図の写真が小さくて読み取りにくいのですが、1位はメキシコで89%。アメリカ(と書いてある)が64%で、ドイツが62%。
日本の会社員は、会社に忠誠心を誓った社畜が多いかと思ったら・・・という意外性もなくはありませんが、いまの日本の状況を考えると、まあこんなものかなとも思います。非正規労働者が増え始めたときから、勤め先への信頼はどんどん低下し始めたのだろうと想像します。
広報の仕事をしている人間としては、どうしたら社員に企業を信頼してもらえるかは挑戦しがいのある課題の一つです。サラリーマン生活36年間、「勤め先の会社を信頼する」というマインドは持ったことがありませんでしたから、かえって課題解決のお手伝いができるかも・・・と考えておりますが、いまのところそのようなお仕事はいただいておりません(ーー;)。

となります症候群

少し前のことですが、地方から東京の料亭に就職した新人の仲居さんをテレビが追っていました。初めてお座敷に料理を運んだ新人さんを、陰で見ていた指導役の先輩が「・・となります、ではないでしょ。・・でございます!」と厳しく注意しました。ところが、次のお料理を運んだときにも「・・となります」と言ってしまいます。直らないんですねえ。一部の若い人たちには、それが正しいとアタマに刷り込まれているようです。
いましがた手もとに届いたマーケティング会社のPR紙をめくっていたら、「春風邪対策」という記事が載っていました。筆者は、紹介文を読むと俳優さんとのこと。内容は少々危なっかしく、風邪を引いたときに絶食を勧めていました。編集サイドでも気になったようで、文末に注意が書き込まれていました。
「※本記事の内容は成人向けに作られたものとなります」

制服の時代

ekiin_untenshi_manクラレが4日に発表したアンケート結果によると、新小学1年生の男の子が将来なりたい職業は、1位スポーツ選手、2位警察官、3位運転手・運転士なのだそうです。カッコいい職業に憧れると言ってしまえばそれまでなんですが、どれも制服・ユニフォームを着る仕事であることが気になる、というのはうがち過ぎでしょうか。ちなみに4位がTV・アニメキャラクターで、5位が消防・レスキュー隊です。
最近、「銀行や信用金庫で、いったん廃止した制服を復活させる動きが相次いでいる」(朝日新聞2015年9月25日付)そうです。記事によれば、三菱東京UFJ銀行のコーポレート・コミュニケーション部は、「来店客から『行員が制服を着ている方が安心感がある』という声が多く寄せられていた」と説明したのこと。本当にそうなのかなあ。他に安心感を与える方法はなかったのかなあ。
なんとなく制服が幅を利かす時代が近づいているようで、制服嫌いとしては少々落ち着かない気分ではあります。

不思議なOB会

業界団体というのは不思議な組織です。専従職員を除いて、給与はそれぞれの所属企業からいただいているので、いわばボランティアのようなもの。会社の仕事に加えて業界のためにも働かなければなりません。競合する企業の人たちが集まっているのですから、それぞれの利害がぶつかることも少なくありません。しかし、共通の目的のために活動するというコンセンサスが得られれば(談合じゃありませんよ)、それはそれで企業内では得られない経験もできて面白いものです。
今日はかつて業界団体広報委員会で活動したOBの集まりです。毎年10数人が参加しますがほとんど異なる会社の出身者。昔話や持病の話も少し出るものの、みなさん現在の生活を楽しんでおられるようで、にぎやかに時を過ごします。ほんの4~5年、広報活動に盛り上がった時期にそれぞれの活動を担った人たちです。こういう会は珍しいかもしれませんね。

フラワーホール

P1020609_2多くの会社で入社時に渡されるのが社員章というバッジ。社員のほとんどがつけている会社と誰もつけていない会社があります。
個人的にはどうも好きになれなかったのですが、広報の責任者としてはつけないわけには行かず、在職中はずっと付けていました。新しいスーツのフラワーホールは縫い付けられていることも多く、カッターナイフなどで小さな穴を開けるのですが、その度に小さな抵抗感を感じたものです。
ある大手精密機械会社では社章をつけることを強制しないと聞きました。つけるつけないと愛社精神のあるなしには関連性がない。つけなくても会社を愛してもらえるようにするのが経営だ、といった趣旨だったと記憶しています。
近頃スーツ姿で仕事をしない企業が増えて来ました。女性社員も多くなりました。社章の前提になっていた服装が消滅しつつあります。精密機械の会社のような考え方が広まるのが必然にように思います。

「とと姉ちゃん」

今日から始まったNHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、ヒロインのモデルは「暮しの手帖」誌の大橋鎮子さんだそうです。
以前の勤め先が1983年、初めて予測式電子体温計を売り出したとき、同誌の商品テストで高い評価を得たことで社会に認知され売上が急激に拡大したそうです。それほどの影響力があったのですね。その時は在籍していませんでしたが、その後も長く「成功体験」として社内に生き続けていることが感じられました。
その何年か後、再び同誌が新しい電子体温計をテストしました。今回は必ずしもよい評価ではなく、「あの『暮らしの手帖』が?」という衝撃が社内に走りました。詳細は忘れてしまったので省きますが、どうしても技術的、論理的に納得できな点がありましたので、編集部へ何度も足を運びました。こちらの話はよく聞いていただけましたが、絶対の自信をお持ちの商品テストだけに難攻不落でした。しかし、そのテスト結果は売上に大きな影響を与えませんでした。
同誌の存在は、戦後の消費社会の成長と成熟をそのまま反映していると言えますね。

異動の季節

人事3月、4月は人事異動の季節。弊社のお客様である医療関連企業や病院、また同業のPR会社でも人事異動や転職、退職の情報や噂が飛び交います。
とくに注意を払う必要があるのが各メディアの人事異動です。取材先としてお世話になった企業へは記者の方から連絡が入ることも少なくありませんが、私たちPR会社は記者のみなさんにとって霞のような存在らしく、ご挨拶をいただけるケースはとくに親しい何人かに限られます。少々残念でもありますが、まあ仕方がないかな。
とりわけ企業の広報部から評判がよろしくないのが日経新聞の旧産業部、現在の企業情報部の担当変えです。担当記者に自社のこと、業界のことを一生懸命説明して、見学もしていただいて、ようやく理解してもらったと思うと2年もしないうちに異動になってしまい、また一からやり直しを繰り返さなければならないというわけです。本気で怒っている広報部長さんもおられました。
製薬会社だろうが自動車会社だろうが、企業を取材するということでは大きな違いはないと日経新聞は考えているのかもしれません。また長く同じ業界を担当させると情が移って公平な記事が書けなくなったり、不祥事の要因になったりすることを懸念しているのだろうとも推測できます。しかし、一番の目的はいろいろな企業への取材経験を積ませて人材育成を図ることにあるのでしょう。
そういうことなら、これは致し方ないことかもしれません。また一から説明をやり直すのも広報担当者の重要な仕事と考えるべきなのでしょう。