昨日の千秋楽、稀勢の里の逆転優勝の相撲には久しぶりに感動してしまい、涙が出てしまいました。日本国中の心が一つになった、などと言ったら、もっと別のことで一つになってほしいと保守派の人たちは思うのでしょうか。相撲でよかった。
それはさておき、優勝が決まった瞬間に、弟弟子の高安も号泣したとか。いい話ですね。この部屋の力士たちの人間関係はとてもうまく行っているのだろうと想像できます。何年も同じ部屋で稽古を続ける中で形成された仲間意識が、こういう場面で発露したのでしょう。
終身雇用の時代の日本企業がこうだったなあ、と思います。終身雇用を賛美するつもりはありませんが、何年か一緒に働くことで仲間意識や信頼関係が醸成され、組織の求心力が高まるという面は否定できません。そこへ行くと、新興企業や外資系企業のような労働流動性の激しい組織では、社員同士が互いに信頼しきれていない状況が出現します。企業としての成功より、自分自身の評価が優先します。もし田子の浦部屋がそうなら、横綱が優勝しても、高安が号泣することはなかったでしょう。
経営学のさまざまなテクニックを駆使しても、本当に強い仲間意識をつくりあげるのは容易ではありません。マジメントの技術がどこまで人間くさい情の領域に介入できるのか、少々懐疑的であります。
経験の価値
NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』の視聴率が20%を超えたのだとか。出勤時間と重なるので、出だしの2分間くらいしか見ていませんが、なんとなく辛気くさくて盛り上がりに欠ける印象です。さらに、俳優さんがみな若いことが気になります。一生懸命老け役に挑戦しているのはわかりますが、舞台ならともかく、リアリティが求められるテレビドラマでは、学芸会を見ているような違和感が拭いきれません。
企業にも同じことが言えるようです。若い人の抜擢、活用は大切なことですが、若い人たちだけの組織は、どこか脆弱に感じられます。「常識」はずれの判断をしてしまったり、不可思議な失態をしてしまうのをしばしば目にします。経験豊かな人材が社内にいないことがその遠因になっているのではないでしょうか。若い人たちだけで構成されている組織では、経験値、あるいは暗黙知が累積しにくい。社歴の浅い人たちばかりの組織では、お互いの信頼関係が醸成されておらず、阿吽の呼吸が望めません。腹の探り合いばかりして余分なエネルギーを消費するばかりです。MBAも結構ですが、経験の価値にも目を向ける必要があります。
DeNAの第三者委員会報告の報道を読みながら、ここにも一例があったと思いました。
やはりリアルワールドか
遠出をしたり出張したりするとき、ちょっとうまいものを食べないなあと思いますよね。以前(だいぶ前ですが)だったら、“食べログ”などで検索して探したのですが、近頃はどうもいい店が見つかりません。Googleで検索しても上位にはそれらの大手飲食サイトがずらりと並ぶばかり。ステマとまでは言いませんが、本当に「いい店」はネットでは探せなくなっています。
それらの飲食サイトの“口コミ”をみると、妙に上手ぶった文章がならんでします。「ヨメさんとどうしたこうしたので、どこそこへ行ったら満員だったのでこの店に行ってみた・・・」などと、こちらには関係ないどうでもいいことがズラズラ並べられていて、うまかったのかまずかったのか、なかなか結論に到達しません。“ガッテン”じゃないんだから、そんなにひっぱらなくてもよさそうなものです。食べる前にヘドが出そうになります。
一体あの“口コミ”はなんなのでしょう。どこにも自己表現する場のない人たちが、あそこで自己満足に浸っているのでしょうか。それとも消えた某健康サイトのような裏マニュアルが存在しているのでしょうか。
やはりリアルワールドで友人知人から教えてもらうのがたしかだということになるのでしょうね。