8月17日付の朝日新聞「天声人語」を読んで、初めて高校の国語で「文学」が選択科目になることを知りました。代わりに実用文として行政のガイドラインや駐車場の契約書が出てくるのだとか。
行政のガイドラインが実用文の模範例かどうか大いに疑問ですが、これまで日本の国語教育において実用文が不当なくらい軽んじられてきたことを考えると、これは悪いことではありません。企業にいた頃、主任や課長への昇進試験の「小論文」をたくさん読まされましたが、9割ほどは日本文を書く基礎がまるでできていませんでした。しっかりした文章が書けるような教育はとても重要です。欧米ではすべての課目のベースとしてwritingやécritureが重んじられていると聞きます。問題はそれを教えられる先生がいるのかどうか、ですが。
蛇足ながら、実用文の一典型はプレスリリースではないかと考えています。ぜひプレスリリースを書く練習をしてほしい。間違いなく有益です。
一方で、文学を選択科目にするという暴挙には絶対反対です。先日、某放送局の敏腕ディレクター氏が米国へ取材旅行に行くに当たり持参する5~6冊の本をSNSで公開しているのを見ました。その中に小説は一冊もありませんでした。「勉強熱心」なのは結構ですが、この方の10年後を思うと、かなり残念な気がしたのであります。