ここまで来たか、監視社会

ある写真家のもとへ突然、国が運営するある公園の管理事務所からメールが届きました。
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この度、貴団体のイベントが某月某日に××公園で開催される予定について確認いたしました。
https://××××××(写真家が運営するサイトのURL)

このイベントは参加費が必要なようですが、××公園は某省が管理する国の施設でございますので、規定により園内で有料イベント等の営利行為は許可できないことになっております。
万が一、園内での営利行為が判明した場合は、中止をお願いせざるを得ませんのでご了承ください。今後は営利行為となるイベントの実施は固くお断りさせていただきたく、ご理解とご協力の程よろしくお願い申し上げます。

貴ホームページ、ツイッター、SNS等での××公園の有料イベント募集の記載につきましては、他の利用者の誤解を招きますので、既に開催されたものや今後のイベント募集含め削除いただけたら有り難く存じます。
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規則は規則ですから、その公園を使う以上は規則に従わざるを得ません。営利目的ならその公園を使えないということもわかりました。
しかし、この話を聞いて何か釈然としないものが残りました。
管理事務所は、写真家のホームページを見て、このような警告のメールを送ってきたわけですが、それはたまたまでしょうか。そうかもしれませんが、そうでないかもしれません。営利目的で公園を利用している輩がいないか、管理事務所はすべてのサイトを常に検索しているのではないかとの疑念が生じます。もしかすると内閣調査局の協力を得て監視しているのかもしれません(ちょっと大袈裟かな?)。
怪しいヤツは事前に潰しておこうというわけですが、それは行政権による事前抑制あるいは事前検閲に通じる行為ではないでしょうか。法律家ではないので正確にはわからないのですが、公園内で営利行為が行われそうだと気づいたら、それが実行されているのを確認した上で注意を喚起するのが真っ当なやり方ではないかと思うのです。市民の楽しみの場である公園の管理事務所が秘かにこのような調査をしていることにも、少々薄ら寒い思いがいたします。

ボクはやっと認知症のことがわかった

私は原則として本はお薦めしないことにしています。関心や価値観は人さまざまですから。正直に言えば、他人から「面白いから」とか「ためになるから」などと言われるのは大迷惑です。なんの関心もない話題だったり、嫌いな著者だったりすることも少なくありません。義理で読んでいると、貴重な時間をこんな本のためにつぶされるのかと癪に障ることもあります。
ではありますが、この本は多くの高齢者やそのご家族には読む価値ありだと思いました。
「ボクはやっと認知症のことがわかった」KADOKAWA刊。
専門医が自らの専門とする疾患にかかる例はしばしば耳にします。認知症の第一人者である長谷川和夫先生もその例で、自分が認知症になってしまった。専門家と患者が合一してしまった。私たちが認知症を知る上でこれ以上の条件はありません。
「認知症になったからといって、人が急に変わるわけではない」という言葉には、専門家=患者であればこその説得力があります。むろん現実にはこの本に書かれているような美しい日常ばかりでないでしょう。憎しみや嫌悪が渦巻く修羅場もあるだろうとは思いますが・・・。
長谷川先生には一度だけお目にかかりました。PR誌の編集をしていた80年代、取材にうかがったかと思います。この本をまとめた読売新聞の猪熊律子さんにも、企業の広報担当者だったときに、一度だけ取材される側としてお会いしたことがあります。印象に残る記者さんでしたが、その後はコンタクトする機会はありませんでした。
それはともかく、かつて実際にお目にかかったお二人が組んでのよいお仕事だと思いました。

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