私たちのような仕事をしていると、メディアに対して批判めいたことは書きにくいのですが、そんなことばかり気にしていたら、言いたいことも言えません。と、そんなマクラで今日は書き始めることにしました。
NHKの看板番組である大河ドラマと朝の連続テレビ小説の評判がよろしくありません。ネットでは、「よろしくない」なんてものではなくて、最悪です。
大河ドラマの出だしは好調に思えました。子役がうまかったためかもしれません。その加藤清史郎クンが、イケメンの妻夫木聡クンにバトンタッチしたあたりから、なんか変だよなあと違和感を覚え始めました。とうとう我慢ができなくなって視聴をやめたのは、5月になってから。私はかなり辛抱強いんです。
何に我慢できなくなったかと言えば、ネットに山のように書かれている要因とまったく同じ。脚本がなっとらんね。
連続テレビ小説の方は放送時間の関係で見る機会は少ないのですが、家を出るのが遅くなったときなどに、ヒゲを剃りながら音声だけを聞いていることがあって、この番組に対するネット上の批判もよくわかる。
「身のほどを知れ」という言葉があります。自分はどういう人間か、自分の会社はどういう会社か、といったことを冷静に把握することはとっても大切なことです。同時に、そこから何を目指すべきかというビジョンを描く必要がある。ある本に、経営者はリアリズムと理想主義が必要だと書いてありましたが、まったくその通りだと思います。
NHKに話を戻すと、あの会社はインテリジェンスは高いがトレンドに乗ることが下手。最新のファッションを頭で理解して、それについて述べることはできても、そのファッションを自分の身につけることはできない。無理してやっても「なんか変」ということになる。そんな真面目で野暮くさい優等生がどこのクラスにもいたじゃないですか。これがNHKの企業風土、企業文化というものです。
優等生って、なんだかんだと陰口は叩かれるものの、クラスでは一目置かれる存在だったはず。他人が真似しようにも優等生には容易になれない。NHKにはすぐれたドキュメンタリー番組や「ハゲタカ」のようなドラマを制作する能力があります。その強みをもっともっと活かすことを考えるべきで、夢にもトレンディドラマを作ろうなどと考えてはいけません。できないことをしてはいけません。民放の真似をすることはないんです。隣の芝生が美しく見えても、自分の庭にはもっと美しい花が咲いているんです。
これは決して他人事ではありません。私たちも十分自戒する必要があると思っています。
先日、NHKの力の入ったスペシャル番組を見ていたら、司会者が上着のボタンを二つとも留めていました。もちろん二つボタンのジャケットです。いかにも優等生のやりそうなことですね。〈kimi〉