危機管理広報の成功事例と言えば、昔もいまもジョンソン&ジョンソン社の「タイレノール事件」が引き合いに出されます。あれは1982年のこと。すでに30年になんなんとしています。「いまさらタイレノール事件でもないでしょう」という発言を先週末の日本広報学会で耳にしました。誠にその通り。もっとフレッシュな事例を集めて広報にたずさわる人たちが共有できれば、それに越したことはありません。
しかし、タイレノール事件の事例がこれほどまでに共有されるようになったのには、それなりの理由がありそうです。私が注目するのは、
1.トップによる強いリーダーシップ
2.積極的な情報公開
3.コストを顧みない素早い製品回収
の3点です。ひと言で言ってしまえば「すぐれたガバナンス」ということになりますが、これらの3点に集約できることが、その後のモデルケースとなり得た要因であると考えています。
このケースの成功要因として、しばしば同社がOur Credoというよき企業理念を持っていたからだと言われます。しかし、それはいかがなものでしょうか。やはりすぐれたトップのすぐれたリーダーシップに帰せられるのではないか、今日の新聞を読みながら、改めてそう思ったところです。〈kimi〉