すでに旧聞に属しますが、福島第一原発2号機のピットと呼ばれる溝から高濃度に放射能汚染された水が海に流れ出ていることがわかりました。結局は水ガラスを使って流出を止めることに成功したようですが、最初に試みたのはピットにセメントを流し込むことでした。それで効果が見られず、次に試みたのは吸水性ポリマーとおが屑と新聞紙を詰めることでした。
その作業が報じられているとき、テレビである新聞人が「新聞がお役に立ってよかった」と発言しているのを耳にしました。
ちょっと待ってください。新聞を役に立てようとしているのではなくて、新聞紙を役立てようとしているんでしょ、と思わず突っ込みたくなりました。新聞紙は、寒い避難所でも防寒具の代りに役立ったかもしれません。日本では新聞紙は津々浦々まで配達されているので、こういう事態ではいろいろと応用範囲が広い。書かれている記事はほぼ1日でその価値を失ってしまうにもかかわらず、紙の方はその後にも利用価値がある。それはそうですが、その新聞人の暢気な発言を聞いて、なにか新聞の将来を暗示しているような憂鬱な気分になってしまいました。〈kimi〉