メディアトレーニングで、記者役の他にカメラマン役も用意して、パッパッパッとストロボを発光させることがあります(実際にやったのは数回ですが)。臨場感を演出して、本番の記者会見で緊張しないように慣れていただこうという意図です。
マリリン・モンローとかジョー・ディマジオとかジョン・F・ケネディ(3人の関係にこだわったわけではありません)などの「時の人」がフラッシュライトを浴びながら、突きつけられた大きなマイクに向かってコメントしているシーンなどが、昔のニュースフィルムに残っていたかと思います。記者会見と言えばフラッシュがつきものでした。
現在の記者会見でも、とくにニュースバリューの高い事案では、会見者の前にスチールカメラマンがずらりと腰を下ろして盛んにストロボを発光させています。
ところが知人のプロカメラマンによると、感度を高く設定できる最新型のデジタルカメラならストロボは必要ないのだそうです。
デジカルカメラはさらに進歩しつつあって、4Kで動画を撮影しておき、一番よいカットを静止画像として切り出すことが可能になっています。新聞やネットニュースで使う程度なら十分な画質だそうです。8Kならさらに解像度の高い写真が切り出せます。
1台のカメラでニュース動画もスチール写真も得られるということなら、スチールカメラマンたちの職が危うくなりそうです。だから必要がなくてもストロボを発光させて自らの存在をアピールしているんだ、というのは少々皮肉が過ぎる気もします。動画と静止画は画の特性が全く異なる、という説にも理解できるところがあります。
シャッター音もない静まりかえった会場で聞こえるのは、会見者の読み上げるコメントと質疑応答、それにキーボードを叩く音だけ・・・という記者会見は、ちょっと妙な気分のものでしょうね。