先週の金曜日は、広報セミナーでかつて教えた受講者のみなさんが10名ほど集まって、楽しい懇親会を催しました。
広報のセミナーを受講する方の多くは企業の現役広報パーソンです。ところがその後3~4年の間に他の部署に転出してしまう人が少なくありません。当日集まった人たちにも、いまは他の仕事に就いている人の方が多くなってきました。
広報の組織や人材の問題を考えるとき、以下の3つの要素に留意すべきでないかと考えています。
1)広報活動には継続性が必要であること
2)広報は専門性が高い業務であること
3)社員に広報業務を経験させることは人材教育として有意義であること
その企業の広報に関するポリシーが一貫していることで継続性は保たれますが、実際には広報セクションのリーダー(責任者)の考え方に大きく左右されます。担当役員などが短期間で交代しても、内部にポリシーが保持されていれば問題はありません。しかし、なかなかそうは行きません。広報のポリシーがコロコロ変わるようでは、長期的な目標に向かって広報活動を展開することは困難です。
また広報活動には人脈が大切です。人脈というのは極めて属人的で、後任に引き継ぐことは非常に難しい。紹介を受けたとしても、そこから新しく人間関係を作りあげなければ機能しません。これすなわちコストでもあります。
「広報の専門性」を認識しない経営者も少なくありませんが、それは暗黙知が多いからではないかと思います。マニュアル化し難い種々のスキルを必要とするのが広報活動というものです。そのように考えて行くと、一定期間広報セクションに在籍している専門人材が必要だということが理解されるでしょう。
一方、経営人材養成のキャリアパスの中で、一度でも広報セクションを経験することは非常に有用であると考えられます。企業を取り巻く社会の考え方や動きを学ぶには、広報はうってつけの仕事です。その意味では、人材ローテーションの中に広報セクションを組み込むことが日本の企業にはもっとあってしかるべきです。
比較的長期に在籍する専門的な社員と短期間にローテートする社員の組み合わせ、これがが広報セクションには必要なのではないかと考えられます。〈kimi〉