昨日の午後は女義太夫を聴きに行きました。演目は「菅原伝授手習鑑-寺子屋の段」。歌舞伎や文楽で義太夫は何度か聴いていますが、女義太夫というのは初めてです。誘われなければ聴く機会などありそうもないので、物は試しと出かけました。初体験のことだし、女義太夫に関しては「こんなものかなあ」という程度の感想ですが、その会場というのが池袋の明日館講堂でした。羽仁吉一・もと子夫妻がつくった自由学園の建物です。ここも初めてです。
池袋駅の西口を出ると「ふくろ祭」とかいうカーニバルのような催しで大騒ぎ。その喧騒を離れて、地図を頼りに静かな路地を進むと、婦人の友社がありました。「こんな奥深いところに」との感慨を抱きつつ、その角を曲がるとライトの設計による国の重要文化財「明日館」(写真)が見えて来ました。昨日は、結婚式に使われているとかで中には入れず。期待していたのに残念。
さて、今日の朝日新聞朝刊です。その婦人の友社が全面広告を出しています。昨日見た社屋を思い出しつつ、この出版不況下にあの地味な出版社がどうして?と意外の感を受けましたが、編集長さんの大きな写真の下の小さな経歴欄を見たら自由学園卒とあるではありませんか。社屋が学校の近くだから入社したのかなあと、実はそのときまで知りませんでした。婦人の友社って、羽仁夫妻がつくった雑誌社だったんですね。長く広報をやっているのに知らないことはたくさんあるものです。昨日の今日でちょっとびっくり。
ついでながら羽仁夫妻の娘が評論家で婦人運動家の羽仁説子。その亭主が、全共闘時代に一時期読まれた「都市の論理」の著者である羽仁五郎。その息子が映画監督の羽仁進で、その別れた女房が左幸子で、その娘が羽仁未央。と、このくらいは知っていたのですが。