私の年齢に平行するように、友人たちも歳を取って行きます(当たり前だけど)。
その過程で、何人かの友人が同じような変化を見せ始めました。頭の上の毛のことでもお肌のシワのことでもありません。
その一人、Aさんの場合。
居酒屋に仲間たちが集合すると、まだ中ジョッキが来ないうちからAさんは自分の近況を話し始めます。先週の土曜日には××(中味を書くと誰なのかバレてしまうので伏せ字とします)があって、××をした。火曜日には××へ出張して、××へ行って、××を見て面白かったなあ。それから××さんと会ったら××だって・・・これが止まらない。2杯目の中ジョッキからお酒に切り替わってもまだ止まりません。オッと10時か、明日が早いから今日はこれで。5,000円置いて行けば間に合うかなあ。お釣りはいりません。じゃ、失礼。と、そそくさと帰ってしまいます。
嵐が過ぎ去り、Aさんを前にしゃべる機会が得られなかった友人たちは、改めてお互いの近況を語り合うことになりますが、すぐに終電が心配になって、お互い物足りない思いを抱きつつ解散することになります。
Aさんも、昔はこうではありませんでした。どちらかと言えば控えめで、他人の話もよく聞く人でした。会社での地位も上がり、管理的な立場になったことが多少は作用しているのかもしれませんが、一種の老化現象とも考えられます。残り少ない人生の時間を有効に使って自分の存在をアピールしなくては、という本能が働いているようにも思えます。
こういう変化を見せる人がAさんばかりでなく、Bさん、Cさんと存在するから怖い。対照的に私は聞き役に回ることが多くなっていますが、ときには私も無自覚にABC現象を示しているかもしれません。実はこの方がもっと怖い。老けるほど頭を垂れる稲穂かな。