麻生首相の漢字を読む能力が話題になっています。「未曾有」を「みぞうゆう」、「頻繁」を「はんざつ」、「有無」を「ゆうむ」、「完遂」を「かんつい」等々。
これほど実例が出てくると教養を疑われても反論しにくいでしょうが、誰でも間違って覚えている言葉の一つや二つはあるものです。
私の場合です。
「最も」を「もっとも」と読まずに「さも」と読んでおりました。「最も早い」は「さもはやい」、「最も小さい」は「さもちいさい」です。「最」という漢字の音が「サイ」であることに影響されたのかもしれません。それで通っていたのだから不思議です。おっと、これは高校1年までの話で、いまはちゃんと修正されておりますのでご安心ください。
間違いに気づいたきっかけは英語の授業でした。最大級の単語が使われているセンテンスの和訳を命ぜられて「さも」と訳してしまいました。「『さも』とはなんですか?」と怪訝な顔で質問した英語教師のメガネ越しの目をいまも覚えています。しかし私は「さも」と読むものだと信じ込んでいましたから、その指摘をとっさに理解することが出来ませんでした。
社会人になっても誤読していたのが「施錠」です。すいません、「せんじょう」と読んでおりました。これは「施」と「旋」の読み違いです。これも誤解のないように申し上げておけば、すでに完治いたしております。が、間違いに気がついたのは40歳を過ぎてからでした。
首相の読み違いに同情はいたしませんが、さりとて青筋立てて批判する気持にもなれないのは、きっとこのような私の過去によるものでしょう。