「ココランチ」公開

この5月に開業1周年を迎えたのを記念して、何かやろうよ、ということになりました。あれこれ考えた末、オフィスのある半蔵門・麹町界隈のランチのお店を紹介することにしました。少々手間取ってしまいましたが、今日、ようやく公開することができました。トップページの左サイドのバナーからお入りください。
半蔵門で仕事を始めた当初は、「これは、というお店があんまりないなあ」という印象でしたが、だんだん街を知るほどに、特色あるお店があちこちに隠れていることがわかってきました。
このあたりの特徴としては、イタリアンが多いこと、回転寿司が絶無であること、老舗が少なく新しいお店が多いこと、しかし、チェーン店は少ないこと、などが挙げられます。
イタリアンが多いのは、外資系企業が多いことが背景にあると思います。ガイジンとその秘書みたいな組み合わせがイタ飯屋では目立ちます。働く女性の多い地域であることも理由の一つでしょう。
立ち食いソバ屋が繁昌しているのに、なぜ回転寿司はないのでしょう。地価が高いので、一定の店舗面積を要求される回転寿司は採算がとれないのかもしれません。なくてもとくに問題はありませんが・・・。
江戸時代、この近辺は武家屋敷でした。番町は幕府を守る武士たちの屋敷が連なっていたところです。そのような場所に繁華街は成立しません。旧住宅公団の団地のようなもので、民間が勝手に蕎麦屋や寿司屋を開店するわけには行かなかったでしょう。老舗が少ないのは、そのためだろうと推測します。江戸城に近すぎるんです。老舗と呼ばれるような店は浅草とか日本橋とか、町人の街に残っていますものね。
チェーン店が少ないのは、大きなビルが少ないからです。最近建設されたビルの地下に行くと、どこもここも同じようなチェーン店ばかりが並んでいます。面白くないですね。そこへ行くと半蔵門・麹町は路面店が多く、個人営業のお店が多いんです。それだけバラエティに富んでいます。
というわけで「ココランチ」、ぜひご利用ください。コメントも歓迎です。〈kimi〉

波打つ硝子

東大病院へ行くには有名な赤門ではなくて、本富士警察署の横の龍岡門から入るのが便利。病院行きのバスもそこを出入りしています。その龍岡門の前に一軒の古めかしいお煎餅屋さんを見つけました。
私、塩煎餅が大好きです。それもスーパーで売っている袋詰めではなくて、煎餅屋で売っている煎餅が好きなんです。好きが高じて「浅草・谷根千の煎餅」というサイトまでつくったことがあります。このサイトは5年間ほど、ほとんど更新をしていないので、すっかり情報が古くなってしまいました。近々取りつぶすつもりでおります。
そんな煎餅好きですから、店を見つけたら買わずに帰るわけには行きません。いまにもモゲてしまいそうな真鍮のノブを回し、上下でワナワナとたわむガラス戸を開けて店に入りました。奥に声をかけると、「はい」と小さな声が聞こえて老主人が出てきました。
煎餅30枚を包んでもらいながら
「おたくは古いんですか?」
と思わず出てしまった質問に、老主人の答えは、
「そこから斜めに窓硝子をみてくださいよ」
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これこそ迷回答にして、類い希なる名回答と言わなくてはなりません。
「ああ、波打ってますね。これは戦前の硝子ですね」と私。
「ここらへんは戦災でみんな焼けちゃったので、戦後間もなくなんですがね」
いまの板ガラスが極めて平滑です。斜めから見ても波打つなんてことはありません。しかし、昔は生産技術が未熟だったので、庶民の家に使うガラスはかすかに波打つのが当たり前だったのです。
老主人は、私の年格好をを見て、「硝子を見ろ」と言ったのでしょうか。硝子を見ただけで、答えがわかる人はある年代以上に限られます。
「あの頃は、硝子ビンにも泡が入っていましたね」と私。
「ほら、ここいらのビンにも泡が入っているでしょう」と老主人。
この店では、小さいあられの類はアルミの蓋のついたビンに入れて売っています。昭和40年代まで、こういう入れ物に飴やお菓子を入れて、量り売りをしているお店が多かったんです。
「この蓋もアルミだとわからない人が多いんですよ」
まさか。でも、そうかもしれないな、と思い直しました。
「江戸あられ 竹仙」というお煎餅屋さんです。これからもずっと商売を続けてほしいものです。〈kimi〉