そのうちに・・・

「ご相談したいことがあるんで、近いうちにお電話しますよ」
「一度ゆっくりお話したいのですが」
「お時間のあるときに一杯やりましょう」
このようなお話を承ることがしばしばあります。しかし、それが実現される確率は一割以下です。「あのお話は、その後どうなりました?」と改めて問い直すのもはばかられて、たいていはそのままになってしまいます。
いくら待っても実現しないということは、そのお話はウソであったということになります。
〈まあまあ、そう目くじらを立てずに。外交辞令なんですから・・・〉と言われそうですが、どうにも釈然といたしません。
辞書には載っていませんが「キョウト」と呼ばれる一連の外交辞令があるそうです。
「あ、ずいぶん長居をしてしまいました。もうお暇しなくては」と客が主人に告げると、
「まあまあ、よろしいやおへんか。いま夕飯をそう言いますさかいに」などと京都の人は引き留めるんだそうです。しかし、間違っても、
「そうですか、それならもう少し・・・」と居座ってはいけません。ご主人は夕飯の注文など全然する気がないからです。念の入った京都の奥様は、何も載せていい俎板を包丁で叩いて、夕飯の支度をしているふりをする、という話も聞いたことがあります。これは、早く帰れという客へのサインなのだそうです。
京都人でない私は、とてもそのような高度な交際術は身につけておりません。「相談したいことがある」と言われれば真に受けます。「一杯やりましょう」と言われれば、その日を待ちます。しかし、みんな待ちぼうけです。
反対に、こちらから「そのうち一杯やりましょう」と申し上げたら、必ず実行することにしております。忘れてしまうこともたまにはあるので100%ではありませんが、85%は実行している自信があります。そうだ、あの人との約束はまだ果たしていなかったな、と夜中に目覚めることもあるほどです。だから、あまり「そのうちに・・・」の安売りはしないように心がけております。
それにしても、あれ以来梨のつぶてのあの人、この人(5~6人の顔が浮かびます)、私への約束は一体どうなったのでしょうね。〈kimi〉

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