立食パーティで気づいたこと3つ。
1.開会時には会場を埋め尽くしている人たちが、主催者や来賓の挨拶がすむと、潮を引くように少なくなること。義理で出席している人がいかに多いか。中には主催者の挨拶が始まる前に帰る人もいます。受付を済ませればアリバイ成立です。私も一度これをやったことがあります。逆に言えば、最後まで多数の出席者が残っているのがよいパーティということになるのでしょう。義理で最後まで帰れないというパーティも、まれではありますが存在します。
2.会場に知り合いが少ない人ほど早く帰ること。司会者から「しばらくご歓談ください」とアナウンスされると、出席者は一斉に料理のテーブルに向かいます。この時点では目立ちませんが、やがてテーブルごとに会話が弾み始めると、右手にビール、左手に料理の皿を持って、テーブルのない空間に孤立している人たちがポツポツと現れます。ホスト側はこういう人たちを目ざとく見つけて、話しかけるのが心得というものですが、それが徹底されているパーティはほとんどありません。話し相手が見つからない人は孤立に堪えきれず、早々に退散することになります。
3.女性は女性同士で群れたがること。男性の多いパーティでは、会場のところどころに女性の群れができています。女性はおしゃべり名人ですから、孤立することはあまりなさそうに見受けられますが、見知らぬ男性に気軽に声をかけるのはやはり憚られるのでしょうか。
先日、半ば義理で出席したパーティでは、100人ほどの出席者の中に顔見知りはたった二人でした。この二人は大切にしなければなりません。Aさんとは10分ほどおしゃべりしました。しかし、Aさんの表情に〈もう結構〉というサインが見てとれましたので、そこで解放して差し上げることにしました。Bさんとは、互いに料理の皿を持った状態で顔が合いました。Bさんは私を十分認識していないようです。考えてみればBさんとの接点は、あるセミナーで互いに講師を務めたというだけのことです。それをBさんに思い出していただいただけで、分かれました。
これでおしまい。他に積極的に知己を得るべき方も見あたりません。パーティのプログラムはまだ続くようでしたが、ここらで退散することにしました。
ホテルの玄関から送迎バスに乗り込んだら、まばらな乗客の中になんとAさんとBさんを発見しました。彼らもまた私と同じような状況だったのかもしれません。楽しいパーティ帰りというよりは、義理を果たした安堵感に浸りながら駅に向かったのでありました。〈kimi〉