美談ばっかり

嫌いというわけではないのですが、高校野球というものに私はそれほど関心がありません。東京生まれの東京育ちであるため、郷土愛が薄いこともあるでしょう。進学した高校の野球部が、応援する甲斐もないほどに弱かったということもあります。しかし、一番の要因は、あの特異な実況アナウンスに少々違和感を覚えてしまうからなのです。
今日もラーメン屋で長崎チャンポンを食べながらテレビの実況を眺めていましたが、あれは一種のホメ殺しだと思い当たりました。ネット際でフライをとれば、解説者ともどもキャッチャーをほめちぎる。守備位置の右に飛んだ打球を捕ったセカンドを絶賛する。一方、エラーをすると、見てはいけないものを見てしまったようなアナウンサーのこわばりが伝わってきます。決して選手を非難することなく、ビデオのリプレーもせずに、次のプレーへと話題を転じます。これって、想定してはいけないものは想定しないことにしていた電力会社や役所の態度とどこかつながっているような・・・考えすぎでしょうか。
大相撲の実況も似ています。どの力士も等しく稽古に邁進しているようなことばかり。中には怠け者も悪いヤツらもいるに違いないと思っていたのですが、リンチや野球賭博が表沙汰になったいまも、あまり変化が見られません。これに比べれば、選手をこき下ろすこともあるプロ野球中継の解説の方がいくらかマシに思えます。
高校野球のプロ化とか特待生制度とか、いろいろ問題が指摘されていますが、美談、美談で飾り立てるような偽善性こそがモラルハザードや腐敗をもたらすのではないかと思うのですがね。〈kimi〉