名山三題噺

高尾にうまそうな蕎麦屋があると知ってわざわざ出掛けたら、ご主人が急病とかでお休み。急病では仕方がありません。駅に向かってとぼとぼ歩いていると、高尾山裏登山道というのに出くわしました。頂上まで行くつもりは端からないものの、景色のよさそうなところまで行ってみようかという気になって歩き出しました。20mも登ったでしょうか。そこまでで引き返しました。坂道って、こんなにキツかったっけ・・・?
NHKのBSで毎週放送している「にっぽん百名山」という番組が気に入っています。テレビの前で寝転びながら、登山ガイドさんと一緒に山を登っているような気分にさせてくれます。360度のパノラマ、高山植物のお花畑、どこまでも続く稜線。一度この目で見てみたいとは思うものの、これから先、その場に立つことは金輪際あり得ないことはわかっています。とくに残念だとも思いません。
世界遺産に登録されるという富士山にもとうとう一度も挑戦しませんでした。一度だけ思い立ったことはあるのですが、その前年に登った人の話を聞いて気持が萎えました。その人は言いました。
「ずうっと前の人のお尻ばかりを見ながら登って行くのよ。それで八合目あたりから、すごく臭いんだ。気圧が低くなるからガスが出るんだよ」
ウソかマコトか存じません。
自分の足で富士山に登るのはしんどいからと、物資補給のブルトーザーに便乗して登頂した人がいるという、これまたウソかマコトかわからぬ噂も耳にしたことがありますが、そんなことまでして登る気などはさらさらありません。
三浦雄一郎さんは80歳でエベレストに登ったではないか、などと言われても勘弁していただきます。これから先も、「にっぽん百名山」で登山気分だけを味合わせていただきます。
以上、ミシュラン三つ星の高尾山、世界遺産の富士山、80歳登頂のエベレストの三大名山、三題噺でありました。〈kimi〉

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