落ちてきた「反省文」

乗換駅で網棚からバッグを引きずり下ろしたら、A4を丁寧に三つ折りした紙が一緒に落ちてきました。ちょっと開くと「反省文」という見出しが見えたので、そのままバッグに放り込んでしまいました。
ワープロ打ちされた「反省文」を読んでみると、これを書いた人は、どこかでケンカをしてしまったようです。発端は、本人が他人の迷惑になるような行為をしてしまい、相手から「パンチ」を食らったこと。その結果として逮捕、公訴されるに至った、それを反省しています。
反省文には、多様な人たちが住む都会では周囲の人間や環境が気になっても、常に自分のことに集中し、徹底的に非暴力を貫き、社会や人様に迷惑をかけることのないよう努めたいとあります。また、もっと幸福な精神状態で健康な身体でいたら、そのときの相手の心境にも思いを致すことができ、殴られるようなことにはならなかっただろうとも書いています。文章に破綻がありません。反省文を読む限り、至極真っ当な人のように思えます。一時の気の迷いから起こった事件なのでしょう。
さて、この「反省文」をどうしようか、と考えました。自署もありますが、それだけで書き手を特定することはできません。特定できたとしても、これをお返しすることはかえって恥をかかせるようにも思います。網棚から落ちてきたときに、またもとの場所に戻した方がよかったか。そうとも思いません。私以外の誰かが、同じように読むだけのことです。警察や駅に届けるのは、かえってこれを書いた人のプライバシーを拡散させることになるでしょう。
ここに経緯だけを記して、シュレッダーにかけることにします。

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