三菱自動車に続いてスズキも排出ガス・燃費試験の不正を発表しました。国土交通省が定めた惰行法なる測定方法で実測していなかったということなんですが、各社の報道で気づいたのは、惰行法という測定方法の妥当性について言及されていないことです。これを回避しようとしたメーカーが2社もあったというのは、よほど面倒な計測法なのでしょう。欧州の測定方法に近いそうですが、どこか非合理な点があるのかもしれませんね。もちろん規定された方法をとらなかったのは明らかな規則違反であり不正であって、弁解の余地はありませんが。
私事ですが最近両社とは異なるメーカーの軽乗用車を購入しました。カタログ表示は21.2km/Lですが、1,600kmほど走った実際の燃費は18.0km/Lです。このメーカーは不正を発表していませんから惰行法を使って測定したのでしょう。それでもカタログ値と15%ほど違いがあります。もっとも、ならし運転でゆるゆる走ったときは26km/Lでしたから、走り方による違いはかなりあるようです。
私たち消費者にとってより重要な問題は、どんな測定法でもかまいませんから、より実際に近い数値を表示してほしいということです。当たり前のことですけれどね。
アリ地獄会見
こういう記者会見もあるのだなあ、と勉強になりました。5月20日の舛添都知事の記者会見です。
自ら考えたのか弁護士のアドバイスに従ったのか、「第三者に調査を依頼する」で押し通して時間稼ぎに出たのでしょうが、その言葉を繰り返すたびにどんどんアリ地獄にはまって行くように見えました。そういうことなら会見を開かない方がいい。しかし、知事の定例記者会見なので回避するわけには行きません。ニッチもサッチも行かなくなった窮余の策だったのかもしれません。
このようなとき、広報を専門とする者としてどうアドバイスすべきか。考えれば考えるほど難しくなりますが、ここはやはり原点に戻ることを進言すべきかな。
「すべてをありのままに話して頭を下げなさい、そこから新しい展開が始まりますよ。それは早ければ早いほどよい結果になるでしょう」と。
記者会見をすることでかえって事態を悪くする。これまでもなかったわけではありませんが、これほどの例は珍しいでしょう。この会見は彼の政治生命の分水嶺になったのではないでしょうか。
JR西のイメージ転換
防犯カメラの映像を自動的に解析し、危険な酔客などがいると通報するシステムをJR西日本が新今宮駅に昨日から導入しました。その運用開始セレモニーがあって、「酒場放浪記」の吉田類さんをゲストに招いたそうです。
http://trafficnews.jp/post/51613/
うまいですねえ。防犯カメラと言えばネガティブなイメージがつきまといます。それを使ったシステムのお披露目にセレモニーをするということが珍しい上に、酔っ払いの代表として吉田類さんを招くという発想が素晴らしい。イメージを一気にポジティブに転換しようとしています。
JR西日本と言えば、福知山線事故の記憶がまだ生々しく、どちらかと言えばネガティブなイメージをいまも引きずっているように思います。ところが、最近発表された新社長紹介の記事を読んで、おや?と思いました。記者の暖かい目が感じられたからです。社長になる来島氏は長く事故対応をしておられたとか。その過程で、記者たちの気持をつかんだものがあるのでしょう。ここでもイメージの転換が起こるかもしれません。
どうしようどうしよう
テレビには映らない(つづき)
今日は一日中、東京ビッグサイトにおりました。豊洲からゆりかもめに乗ったのですが、「国際展示場正門」という駅の手前で、あらぬ方向へ向かう車両がありました。スマホで調べたら、ゆりかもめの車両基地がそこにあるんですね。そこでビッグサイトの裏の方を見たらたしかにありました。
で、昨日の続きなのですが、阪神淡路大震災の数ヶ月後に現地へ行ってみたら、大きな被害を受けた建物のすぐ近くに、なんの被害も受けずに住人が暮らしている家があることに驚きました。それが複雑な住民感情を引き起こしたと後に聞きました。東日本大震災の津波の被災地では被害を免れた建物は見られませんでしたが、今回の熊本地震の被災地でも阪神淡路と同じような状況があるのではないかと想像します。しかし、テレビでは大きな被害を受けた住宅やマンションしか映しません。それも現実ではありますが、しかし本当の現実を伝えているかと言えば・・・どうなのでしょうね。
テレビには映らない
一昨日の中日に、生まれて初めて大相撲を観に行きました。十両の力士の出身高校の先生を通じて後援会の・・・と長いチェーンの先に連なって、一番安いのから二番目の椅子席のチケットを入手しました。二階席の上の方ですから、土俵ははるか下に見えます。大きな力士も、それこそ豆粒のよう。それでも生で見る面白さは伝わってきました。
さらに面白かったのは、テレビ中継では映さないところがよく見えたことです。仕切前の力士は水を含んで吐き出しますが、その先には土俵をちょっと削って痰壺が設置されていることがわかりました。汚いものですからテレビには映さないのは理解できますが・・・。
上の写真は西方からの眺めです。そこから両手を下ろして仕切っている力士をオペラグラスで見ると、その迫力に圧倒されます。この角度もテレビでは映しません。現場へ行かなくてはわからないことは、やはりたくさんありますね。
やはり直にお話をうかがわないと
広報セミナーで
今日は午後から経済広報センターの広報セミナー。長年講師を勤めている宣伝会議の広報担当者養成講座とは受講者の所属企業に大きな違いがあります。前者は経団連の外郭団体だけに有名な大企業が多く、後者はベンチャー企業やIT企業が多い。だからどうということもないのですが、伝統的な大企業なら広報のノウハウが蓄積されているでしょうし、そこの広報部門の社員なら知識も豊富だろうと想像するので多少緊張度が高まります。ところが講義が終わったあとの名刺交換でお話をうかがうと、新任だったり2~3年の経験だったりする方が多く、先輩からの知識やノウハウの伝達が必ずしも行われていないようなのです。前任者は簡単な引き継ぎだけで異動してしまいますし、先輩も日々の業務に追われて後輩に一から指導する時間がない、というのが実情なのだと改めて認識しました。そこにこのようなセミナーの必要性もあるのでしょうね。