業界団体というのは不思議な組織です。専従職員を除いて、給与はそれぞれの所属企業からいただいているので、いわばボランティアのようなもの。会社の仕事に加えて業界のためにも働かなければなりません。競合する企業の人たちが集まっているのですから、それぞれの利害がぶつかることも少なくありません。しかし、共通の目的のために活動するというコンセンサスが得られれば(談合じゃありませんよ)、それはそれで企業内では得られない経験もできて面白いものです。
今日はかつて業界団体広報委員会で活動したOBの集まりです。毎年10数人が参加しますがほとんど異なる会社の出身者。昔話や持病の話も少し出るものの、みなさん現在の生活を楽しんでおられるようで、にぎやかに時を過ごします。ほんの4~5年、広報活動に盛り上がった時期にそれぞれの活動を担った人たちです。こういう会は珍しいかもしれませんね。
フラワーホール
多くの会社で入社時に渡されるのが社員章というバッジ。社員のほとんどがつけている会社と誰もつけていない会社があります。
個人的にはどうも好きになれなかったのですが、広報の責任者としてはつけないわけには行かず、在職中はずっと付けていました。新しいスーツのフラワーホールは縫い付けられていることも多く、カッターナイフなどで小さな穴を開けるのですが、その度に小さな抵抗感を感じたものです。
ある大手精密機械会社では社章をつけることを強制しないと聞きました。つけるつけないと愛社精神のあるなしには関連性がない。つけなくても会社を愛してもらえるようにするのが経営だ、といった趣旨だったと記憶しています。
近頃スーツ姿で仕事をしない企業が増えて来ました。女性社員も多くなりました。社章の前提になっていた服装が消滅しつつあります。精密機械の会社のような考え方が広まるのが必然にように思います。
「とと姉ちゃん」
今日から始まったNHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、ヒロインのモデルは「暮しの手帖」誌の大橋鎮子さんだそうです。
以前の勤め先が1983年、初めて予測式電子体温計を売り出したとき、同誌の商品テストで高い評価を得たことで社会に認知され売上が急激に拡大したそうです。それほどの影響力があったのですね。その時は在籍していませんでしたが、その後も長く「成功体験」として社内に生き続けていることが感じられました。
その何年か後、再び同誌が新しい電子体温計をテストしました。今回は必ずしもよい評価ではなく、「あの『暮らしの手帖』が?」という衝撃が社内に走りました。詳細は忘れてしまったので省きますが、どうしても技術的、論理的に納得できな点がありましたので、編集部へ何度も足を運びました。こちらの話はよく聞いていただけましたが、絶対の自信をお持ちの商品テストだけに難攻不落でした。しかし、そのテスト結果は売上に大きな影響を与えませんでした。
同誌の存在は、戦後の消費社会の成長と成熟をそのまま反映していると言えますね。
異動の季節
3月、4月は人事異動の季節。弊社のお客様である医療関連企業や病院、また同業のPR会社でも人事異動や転職、退職の情報や噂が飛び交います。
とくに注意を払う必要があるのが各メディアの人事異動です。取材先としてお世話になった企業へは記者の方から連絡が入ることも少なくありませんが、私たちPR会社は記者のみなさんにとって霞のような存在らしく、ご挨拶をいただけるケースはとくに親しい何人かに限られます。少々残念でもありますが、まあ仕方がないかな。
とりわけ企業の広報部から評判がよろしくないのが日経新聞の旧産業部、現在の企業情報部の担当変えです。担当記者に自社のこと、業界のことを一生懸命説明して、見学もしていただいて、ようやく理解してもらったと思うと2年もしないうちに異動になってしまい、また一からやり直しを繰り返さなければならないというわけです。本気で怒っている広報部長さんもおられました。
製薬会社だろうが自動車会社だろうが、企業を取材するということでは大きな違いはないと日経新聞は考えているのかもしれません。また長く同じ業界を担当させると情が移って公平な記事が書けなくなったり、不祥事の要因になったりすることを懸念しているのだろうとも推測できます。しかし、一番の目的はいろいろな企業への取材経験を積ませて人材育成を図ることにあるのでしょう。
そういうことなら、これは致し方ないことかもしれません。また一から説明をやり直すのも広報担当者の重要な仕事と考えるべきなのでしょう。
五~七分咲き
悩みっぱなし
先週から悩みっぱなしです。広報セミナー用のパワーポイントを大幅に再構成しようとしているのですが、どうにもうまくまとまりません。
長い間講師をつとめているのですが、昔の大学教授のように毎年同じことをしゃべってすませられるほど、いまの世の中は甘くはありきません。広報の世界もどんどん変化しています。受講者の興味や関心も少しずつ変わって行きます。そこで数年に一度、講義内容を大きく組み直すことにしているのです。
しかし、マイナーチェンジを重ねて熟成させたコンテンツをガラガラポンするのは容易なことではありません。どうしても、変えられない変えたくないという潜在意識との葛藤が生じてしまいます。古めかしくなった企業で意識改革をするのが難しいのと同じようなものかもしれませんね。
千鳥ヶ淵はまだ二分咲き
青梅街道中野警察署前
無法地帯麹町
弊社のオフィスは、住所こそ平河町ですが、ほぼ麹町です。この東京のど真ん中は、実は交通ルール無視がまかり通る無法地帯なのであります。さすがに上下6車線の麹町大通りでは見られませんが、脇道では横断歩道以外での横断は当たり前。交番の前でも平気です。信号が赤でも車が来なければ堂々と横断して行きます。初めてこのあたりで働くことになった人は一様に驚くようです。
一人でもやりますから「赤信号みんなで渡ればこわくない」ということではなさそうです。聞くところによれば、これはニューヨークと似ているそうです。車が来ないのに横断しないのは不合理だということしょう。この街で働いている人たちはニューヨーカーと価値観を共有しているのでしょうか、道路の横断に関してだけですが。