ところでございます

「前向きに検討いたします」というのは「いまは行動を起こす気はありません」ということで、「適切に対処します」と言えば「いままで通りにやります」という意味だったり・・・。このような役人言葉に、物事を几帳面に考える人(まともな人のことですが)が腹を立てるのは至極当然のことです。
さて、ここに新たにご紹介したい役人言葉は、「・・・ところでございます」という表現です。
「それに関しましては、すでに局長通知等によって周知を図ったところでございます」というふうに使われます。よく耳にするでしょう。これを聞くたびに身体の内側がモゾモゾしてしまいます。
これは極めて特異な、役所特有の語法です。たとえば酒屋のオジサンが使うでしょうか? 芸術家が使いますか? タクシーの運転手さんが使いますか?
「運転手さん、次の信号を右に曲がってください」
「はい、その件につきましては、すでに右にウインカーを出したところでございます」
なんて言いっこないでしょう。
どうしてこんなおかしな表現が官僚に広まってしまったのか。まず思いつくのは「官僚の無謬性」という言葉です。官僚は間違うはずがない。少々問題があろうとも、それは失政ではない。したがって過ちを公に認めることもあり得ないという論理ですね。
たとえばジャーナリストに、「これはおかしいんじゃないですか?」と質問されると、「おかしいですねえ」と答えてしまったら過ちを認めることになる。そこで、その件についてはすでに把握していて、(決して有効とは考えてはいないけど)こういう手をすでに打っておりますと言わなければなりません。そのようなときに、「その件につきましては・・・ところでございます」という表現が出てくる。これが出て来たら、言い逃れ、責任逃れだと判断してほぼ間違いなさそうです。
これ、官僚だけに独占させておくことはありませんね。私たちも大いに利用しましょう。言い逃れにはとても便利だと思いますよ。もちろん、まともな人たちからは顰蹙を買いますが。〈kimi〉

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