電話やめて!

帰りの電車の中のことです。
「電話やめて!」という声が車内に響きました。首を伸ばして見ると、クリーム色の毛糸帽をかぶった高齢のおばさんが横の女性に向かって言っているのでした。女性は持っていたスマホをバッグにしまいました。
その後もおばさんは「電源切って!」、「向こうに行ってやって!」と周囲でスマホを持っている人たちに向かって癇性に抗議を続けます。しかし、ドアを背にした女子高生は、何度言われようとスマホをやめませんでした。
おばさんは盛んに耳を押さえているので、どこか具合が悪いのかもしれませんが、「違反するから」などとも言っていたので、優先席付近では携帯の電源を切れという不合理なルールがいまも続いていると思っているのかもしれません。
それはともかく、最初の「電源切って!」の一声で、一斉におばさんに注がれた乗客たちの眼差しはすべて非難の色を示していました。おばさんの味方は一人もいなかったと断言できます。みなスマホの味方だからです。そういう社会なんです、いまは。

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