帰りの電車の中のことです。
「電話やめて!」という声が車内に響きました。首を伸ばして見ると、クリーム色の毛糸帽をかぶった高齢のおばさんが横の女性に向かって言っているのでした。女性は持っていたスマホをバッグにしまいました。
その後もおばさんは「電源切って!」、「向こうに行ってやって!」と周囲でスマホを持っている人たちに向かって癇性に抗議を続けます。しかし、ドアを背にした女子高生は、何度言われようとスマホをやめませんでした。
おばさんは盛んに耳を押さえているので、どこか具合が悪いのかもしれませんが、「違反するから」などとも言っていたので、優先席付近では携帯の電源を切れという不合理なルールがいまも続いていると思っているのかもしれません。
それはともかく、最初の「電源切って!」の一声で、一斉におばさんに注がれた乗客たちの眼差しはすべて非難の色を示していました。おばさんの味方は一人もいなかったと断言できます。みなスマホの味方だからです。そういう社会なんです、いまは。
頭を下げてない
連休中に、韓国の加湿器殺菌剤による肺損傷事件の謝罪会見のニュースを興味深く見ました。
被害者家族による平手打ちシーンよりも興味を惹かれたのは、英国企業の韓国法人の代表(日本法人の代表でもあるようです)が“Sorry”とか“apologize”とか連発しながら謝罪する仕草です。どう見てもあのお辞儀は奇妙です。日本流と韓国流では多少違いがあるかもしれませんが、韓国の人たちだって多分おかしいと思ったでしょう。
ではどこが違うのか。彼のお辞儀は腰から身体を曲げているだけです。日本人を含む東アジアの人たちのお辞儀は、腰から背中のラインの延長線からさらに頭部が下がります。そこに謝罪や感謝や崇敬の気持が乗るわけです。
彼は、身体は折り曲がってはいるものの、頭を下げていない。それでは違和感ばかりでなく、謝罪の気持が伝わりません。まことに微妙ではありますが、そこが大切なポイントです。
サポートしている韓国のPRエージェントはもう少しトレーニングをさせた方がよかったのではないでしょうか。外国人だから(母国がどこかは存じませんが)やむを得ないとも言えますが、柔道の試合では自然な礼をする外国人選手が少なくありませんから、練習すればできるはずです。東アジア地域で公式な謝罪をする以上、そのくらいの努力は必須と考えるのですが・・・。
ココランチ
弊社のサイトには、このブログのほかに「おいしい昼ごはんCocoLunch(ココランチ)」というページがあります。
ちょうど8年前の創業1年目、自社サイトをできるだけ多くの方に見ていただきたいと考え、1年間に食べ歩いて蓄積した半蔵門・麹町界隈のランチ情報を公開したのでした。
初めは毎日のように異なる店に入りました。麹町というところはいまもそうですが、全国的なチェーン店があまりありません。マクドナルドも5~6年前に撤退してしまいました。その代り、戦前から代々続いている店のちらほらあります。奇妙な店もありました。高齢のご夫婦がやっておられた洋食屋さん。カウンターは油でベタベタ。肉のソテーが定番でしたがが、正体不明の液体を振りかけて焼き上げます。ランチの営業が終わると、ご主人が椅子を並べて横になっているのが外がまる見えでした。ココランチで紹介しようと思ったら店名がわからない。看板もありません。ようやく営業許可書の掲示を見つけて「モンドール」という店名が判明しました。そんな興味深いお店も長い休業を経て閉店、取り壊されてしまいました。
名物店は少しずつ減って行きますが、いまも半蔵門・麹町界隈はランチには恵まれている街だと思います。
甘いも辛いも
居酒屋に入ると、
「お酒ちょうだい」
「どのような酒がよろしいでしょう?」
「辛口! 俺、甘口はだめなんだ」
といった客と大将との会話をしばしば耳にします。
生意気を言うようですが、この客はたぶん酒の味をご存じない。また少々古い。
何年か何十年か前、アサヒスーパードライが発売され地酒がブームになったころ、なんでもかんでも辛口が持て囃されたことがあります。それまで大手酒造会社がつくっていた水飴(醸造用糖類)をたくさん投入した日本酒がここで否定されました。しかし、いまはそんな甘い酒はほとんどありません。甘い辛いは、いまの日本酒にはほとんど意味をなさない尺度となったわけです。
おっと、日本酒談議をするつもりではありませんでした。甘い辛いといった二項対立的な評価や発想はたいていインチキ臭いということを言いたかったのですが、連休中でもありますので、このへんでやめておきます。
PR会社はつらいよ
昨日お手伝いした記者発表が多くメディアで報道されて、午前中は担当者がクリッピング作業に大汗をかいていました。
一方で、記者発表してもほとんどニュースにならないケースもあります。反響が少ないと、お手伝いしたPR会社としてはなんとも申し訳ないような気がいたします。私たちにも責任の一端はありますが、なんと申しましてもニュースバリューのあるなしが、報道の量と質に決定的な影響を及ぼします。
ところが情報の発信元であるお客様の方で、ニュースバリューを客観的に評価できない場合が少なくありません。できるだけ「これはあまり報道されないかもしれませんよ」とお伝えするようにはしておりますが、伝えにくいこともしばしばです。こちらがエクスキューズしているように受け取られることさえあります。
まったく“PR会社はつらいよ”であります。
オウンドメディアだったのか?
昨日、NHKのTV画面のカッコ表示について書いたら、今日はなくなっていました。このブログを読んだのかな?・・・そんなことはあり得ませんが、内部でも、いつまで続けるか議論があったことでしょう。
で、先日来の報道によれば、会長さんが原発に関連するニュースは政府の公式発表に従って報道しろと指示したとか。この方は民主主義とか基本的人権といった問題を真剣にお考えになったことがないのでしょう。
それはともかく、これでは政府の広報になってしまうとどこかの識者のコメントが新聞に掲載されているのが目にとまりました。広報? ま、そうも言えますが、メディアであることを踏まえれば、最近流行の用語で「政府のオウンドメディアになろうとしている」と表現した方がよいかもしれませんね。
カッコ書き
4月14日の熊本地震(前震)以来、NHKのテレビ画面には上と左に情報枠が設定され続けています。いつまで続けるつもりなんでしょう。
今日の時点では、左側に「熊本地震 関連情報」、上には気象庁の発表や義援金の振込先などが表示されています。こんな情報なら不要なのではないですか?
被災者のみなさんの中には携帯やスマホを持っていない方もおられるでしょう。しかし、それらの方々がNHKテレビのこの枠に表示される情報を必要としているとはどうしても思えません。まして全国に流す必要もないでしょう。このような認識は間違っているでしょうか?
なんとなくお為ごかし、「カッコつけている」だけじゃないかと邪推してしまうのです。そう言えばこの枠、カッコ形(「)ですね。
複雑な気持
一年ほど前のことですが、土曜の午後、ある研究会に出席しました。医学部の真新しく広い会議室に50名近くも集まっていたでしょうか。この会は毎回、いろいろな職種のみなさんが医療報道に関して熱心に議論するのでとても勉強になります。
ところがその日は、一人の男性がとなりの若い女性と小声でしゃべり続けています。前で行われているレクチャーや議論にはまるで関心を示すことなく、楽しそうにペチャクチャやっているので気になって仕方がありません。いや、若い女性と話していることでなくて、そのヒソヒソ声がです。
研究会が終わると、さっと起ち上がって幹事役の某新聞デスクに挨拶しています。後で確かめたら、某雑誌の編集長であるとのこと。一体何しに来たのでしょう。その行為は人格を疑わせるものです。それ以前も好みの雑誌というわけではありませんでしたが、以後大嫌いになりました。
ところが、最近なかなかいい記事がその雑誌に掲載されているのです。読まないわけには行きません。ちょっと複雑な気持です。
広報の観点からは言うべきことなし
世の中に100%法律違反をしたことがないという企業は存在しないでしょう。営業社員が駐車違反することもありますし・・・。しかし、業務の根幹の部分で脱法行為をしている企業は、早晩社会から排除されることになると思います。
広報活動というものは、脱法・不法行為をしていない、あるいはしないように努力している99.9%のふつうの企業であることを前提としているのだなあ、と改めて考えました。
三菱自動車の燃費偽装の件です。あの謝罪会見に関して広報の観点から言うべきことは何もありません。そこをなんとかダメージを最小限に食い止めるのが広報だというご意見もあろうかとは思いますが、脱法・不法行為をカバーすることが広報の役割だとはどうしても考えられないのです。
価値を共有する国
「価値を共有する国」という表現をしばしば目にするようになりました。いまの政府が頻用しているからだと思いますが、外務省の資料によりますと、「普遍的価値(自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済)に基づく」外交をするのだそうです。
価値を共有していないのは中国や北朝鮮、韓国(直近はどうなったか知りませんが、少なくとも昨年秋までは)等、共有しているのは米国や西欧諸国、オーストラリア等々ということなのでしょう。
昨日の報道によれば、国際NGO「国境なき記者団」による2016年の「報道の自由度ランキング」が発表され、日本は72位だったそうです。
少々乱暴ではありますが、少なくとも報道の自由に関して言えば「価値を共有する国」とは日本と順位の近い国ということになりそうです。
70位韓国、71位タンザニア、73位レソト、74位アルメニアあたりがそれです。
176位の中国、179位の北朝鮮とともに、1位のフィンランド、2位のオランダ、3位のノルウェーなどともどうやら価値は共有していないようですね。